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国宝みたいなものについてはみんな一生懸命になってますが、これは静岡県の中川根町を調べたのですけれども、指定のものは一生懸命。そうではない、単に町指定の民俗芸能の数は莫大ですが、これについては意外と町の人は無関心です。
それから、特に問題なのは、いろいろなホールがたくさんできていますよね。その中で、非常に公共性の強い民俗芸能をわかりやすく、面白い方法にできるのですが、それが全然されなくて、ほとんど有名なタレント公演が主体で、地域で一番大切と思われる民俗芸能が、文化事業活動からのけられてしまってます。
それから、文化祭などにおきましても、民俗芸能はまた別扱いなんです。違うところで好きなものをやっているみたいな形で、その町、村の当事者ですから民俗芸能が何か邪魔物みたいな感じ。だから、簡単に観光資源として使えばいいんではないかと、そのような極端な意見。はっきりいって、その町の人たちが、いかに祖先から伝えられてきた伝承的なもの、生活様式、これを今やらなければいけないのかという危機意識が全然ありませんね。要するに、有名指向による経済が優先です。
鈴木委員長 そうですね。私はお神楽ならお神楽を復元しますね。そのときに、今若い人たちがやっている音楽はわずか3分ですよ、徹夜で24時間舞い続ける芸能なんていうのは世界のどこにもないんですと、まずこれがいかに重要な価値をもっているかということを村の人たちに話すんです。実はここが最も手間がかかるんです。そういうものなんですかと気づかせる、そこのところの時間と努力が一番かかるのです。おっしゃるとおり、この芸能がどういう価値観をもっているかということを、村の人、町の人自体が気がっかないのです。そうやって話をすると、ああ、そんなものですかと。
また同じ県の中でも、自分の県の中にこういう芸能があるんだということを知らないんですね。ですから、調査会のデータの中にも、「PR不足」というのが書いてありますけれども、それ以前に、かつては村落と村落との間に大きな壁があります。熊本県下のあるところで、三つが1組になっている芸能があるんです。ところが、あるとき調査に行きましたら、偶然3か所から保存会の人が出てきたんです。
もともと三つで1組になっているものを、三つの集落が今一つずつしか伝えられてないわけです。偶然それが、Aというところが三つあるうちの1番目、Bが2番目、Cが3番目と、一つ一つもっている。だから、三つが一緒になれば一つの芸能が復元できるんです。ところが、この三つが初めて顔を合わせたというんです。そんなのが同じ村の中に、町の中にあったとは知らなかったというんです。同じ町ですよ、一つだけ隣村なんですけれども……。だから、一緒になったらいいではないかというと、まず氏子が違うと。だから、できないと言う。その次、BとCとは同じ町の中なので、一緒になってやったらどうですかといったら、昔は違う村だったと。これでもうやらないんですね。ですから、そこのと

 

 

 

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